コラム「少年のように」

#22 「取り戻せない時間の中で笑うあの人」



 先週の火曜日の事。仕事を終えて帰宅したら、母が「・・・DVDが壊れました。」と小さく呟きました。え?そのか細い言葉が、最初、何を言っているのか解りませんでした。
 ここのところずっと調子が悪かったBlu-Rayレコーダーが遂にその短い人生に終わりを告げていたのでした。
 なんてこと。このレコーダーの中には大切な番組のデータが山の様に(本当に山の様に)入っていたというのに。というか、今日これからドラマを録画したいのに、それも叶わない。嗚呼、何と言う事だろう。
 悲しくて悲しくて、でも嘆いていてもレコーダーの電源が入ってくれる訳も無い。それから一週間、ドラマもバラエティも全て録画出来ず、ただ観るのみ、しかも深夜の番組は寝ずに観なければならなかったので、少し辛かったです。
 好きな番組は録画して編集してディスクに焼いて何度でも観たい人間としては、今まで溜めて編集待ちになっていたデータが跡形も無くなってしまったことはとても悲しい事です。
 修理に来た人が言ったそうです。「ハードディスクは消耗品ですから」。
 このレコーダーは2010年の年末に購入したものでした。寿命約一年。命短し。いくら消耗品とはいえ、消耗早すぎます。
 今日レコーダーは直りました。しかし、記憶喪失のままです。これからまた記憶を塗っていくのです。録画した端からディスクに移していかなければ。そう決意した木曜の夜。
 紅白やカウントダウン、情報番組、トーク番組などなど、後でゆっくり楽しみたかった子達のことを思い出します。うう。悲しや。  みなさん、電化製品は我々を裏切ります。いとも容易く裏切ります。その覚悟と対策はしておかなければなりません。
 早速、マイパソコンのデータが無くならない様に、バックアップを考えます。

 とりあえず、明日放送の大好きな番組が録画出来て残せる事が救いです。
 取り戻せない時間は、これからの時間で埋めていくしかないのです。



2012.02.16 結