コラム「少年のように」

#20 「あの日の自分に勝つために。」



 3年程前に書いた自分の短い小説を読んで、あれ、これ書いたのおれ?みたいな気持ちになった。こんな語彙持っていたんだ。こんな言い回し使えていたんだ。びっくり。
 当時、兎に角一生懸命、相手に自分の気持ちが伝わるものを書こう、意味の無い言葉の羅列や想いだけを乗っけたものではなく、文章として成立するものを書こう、そう思って自分の脳味噌の中にある言葉を総動員させて組み合わせた物語たち。
 自分で書いたくせに、良く出来ている、と自分を褒めたくなった。今の自分には書けない、素晴らしい文章だった。退化しているなんてダメだ。
 パソコンに慣れすぎて漢字を書けなくなってしまった時も思ったけれど、ずっと続けていなければ腕は鈍ってくる。物書きも同じで、ずっと書かなかったし考えなかったから、脳味噌の中から言葉が何処かへ逃げてしまった。
 このままではいけない。シゲさんに負けない文章を書くためにも、もう一度書き始めよう。3年前の自分が、おお、お前成長したな、と自分を褒めたくなるくらいに進化した、格好いい文章を書ける、結希さんでありたい。
 夢でも何でもいいから、もう一度此処から。




2012.01.26 結

去年も、この日にコラムを書いた。兄貴の誕生日を祝ったのだ。あれからもう1年経つのだから、小説を書いていた時期って本当に悠か昔なのだな、と思ってみたり。