コラム「少年のように」

#15 「長崎原爆の日」



 11:02にサイレンが鳴りました。毎年、この音を聞くとハッとします。ナガサキに原爆が落とされて66年。僕は戦争の時のことは何も知らないけれど、子どもの頃からナガサキと一緒に過ごしています。

 長崎では毎年8月9日が学校登校日で、この日に必ず「平和学習」を行います。ずっと当たり前にあったから、全国どこの学校もそうだと思っていました(広島は6日でしょうけれど)。でも、実際は登校日が無い所もあると知ってびっくりしました。  平和学習で行うことは、戦争をテーマにした映画(実写であったりアニメーションであったり)を観たり、被災した方の話を聞いたりします。11:02には皆で黙祷をささげます。最後には必ず感想文も書かされます。

 色んな映画を観ました。なんとなく覚えているものもあれば、怖くて目も耳も塞いでしまった事もあります。特にアニメーションの方が実写よりも生々しく描かれていたりして怖いのです。
 小学校1年生の時に初めて観た戦争映画は「ムッチャンの詩」という映画でした。恐ろしく感じてずっと毛布に蹲っていました。  実際に戦争を体験した方の話は、もっと怖いです。自分の脳裏に情景が映し出されて、目の前に焼けた人を見てしまうのです。想像力が豊か過ぎるのも考え物だと思わされます。

 戦争体験を聞くということは、悲惨な出来事を忘れない為にあるのだということがよく分かります。惨い、怖い、と言った感情が芽生えれば芽生えるだけ、「戦争を起こさない」という気持ちは強くなるものです。法律で決められているから殺さないのではなく、殺す事は怖い事だと思う方がずっとやらない気持ちにぐっと強さをくれます。


 この時期、終戦記念として各放送局がスペシャルドラマを放送します。怖いけれど、「怖い」ことを忘れないように、そしてナガサキに生まれたものとしていつか戦争の事を書いた本を作りたいと思っているので、出来るだけ観るようにしています。


 世界に目を向ければ、紛争や戦争が終わらない国が沢山あります。早くそういう国が無くなってくれる事を願うばかりです。



2010.08.09 結