コラム「少年のように」

#03 「ドイツへ行きたい!」



  来年、ドイツでオペラの公演をします。ミュンヘンに程近いローゼンハイムとヴォルフラーツハウゼンで行われます。演目は、「天正遣欧少年使節」の4人の少年を主軸にした「忘れられた少年」。台詞はドイツ語だけれど、歌は日本語で唄うとのこと(ドイツ語の字幕をつけます)。
 「行きたい!」話を聞いたとき、この言葉が口をついて出てしまいました。3〜4年程前からドイツに行きたいと思っていたから、こんなチャンスがあるのなら、絶対に行きたいと思って。  最初の話では今年の秋と言うことだったので、お金も無いし、英語もドイツ語も出来ないから夢で終わるな、と思っていたのだけど、監督とドイツ側との話し合いの中で日付がどんどん遅くなり、来年という話に。それなら、頑張って貯金して勉強すれば、夢じゃないかも!という域にまで来ています。

 そもそも、自分がどうしてドイツに行きたいか、というと、最初の最初は、ある男性声優の出身地がドイツだったってことからなんですが、その声優が特出して好きだったわけではなく、「珍しいな」と思ったのです、あまり居ませんからね、海外出身の人なんて。  もちろんそれくらいで「ドイツ行きたい!」という話にはなりません。それから数年が経ってから、偶々会社に掛けられていたカレンダーにオーストリアの街の写真が載っていて、アールヌーボー調の建物がとても綺麗で、生で見てみたいな、と思ったのが次のきっかけ。オーストリアはドイツの隣国で言葉もドイツ語を使うし、なんならドイツ・オーストリアまとめて見たい!という気持ちになりました。(公演も最初は「ドイツ・オーストリア巡演」という話だったので、まさにその夢が叶うかも!という感じだったのです。話し合いの結果、ドイツ2回公演ということになってしまいましたが。)

 それまでの自分は、子どもの頃のトラウマが原因で、「日本語が通じない所には行きたくない!」とずっと思っていて、高校を卒業するまでは、本当にそう思っていたんです。海外なんて行かなくたって死なないし、って。でも、ポルトガルの合唱団の方々と一緒に舞台に立ったことがきっかけになって、英語ももう一度勉強したいと思ったし、海外にも行ってみたいと思うようになって、それは凄く良いことだと自分では思っています。

 可愛がって貰っていた先生からも、「滅多に無い機会だし、絶対あなたの糧になるから、借金をしてでも行きなさい」と言われました。先生もお仕事などで海外に行かれますが、いつもいい刺激を貰って帰って来ると仰っていました。背中を押してくれる人が居ると、俄然その気になります。

 今はスローペースで英語を勉強しています。ドイツ語は、現地に行くまでに簡単な挨拶くらいは出来る様になりたいと思っています。
 お金は、なんとか・・・。毎月こつこつと貯めて、最低限は捻出できそうな感じです。色々援助の制度もあるみたいなので、それがどのくらいまで補ってくれるのかが問題です。ドイツへ行ったら、貯金は底をつくので、今度は車検のためにまたちょっとずつ貯めていきます。

 そして、自分には今手紙を通して仲良くしているドイツ人の女の子が居ます。彼女は前から自分のオペラの話に興味を持ってくれているので、行くことが決定したら真っ先にその子に知らせてあげたいと思っています。チケットも、できればプレゼントしてあげたい。  目標があると、なんだか頑張れますね。日々の雑事や身近な公演練習に押されて疎かになりがちな諸々もしっかりやらなければ。

 頑張ります!







 監督の巡演準備旅行報告書を読んだら、ますます行きたくなりました!!あ〜ヤバイ!!



2010.10.26 結